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『氷菓』11話について。

以下、メモ的に。

  • 愚者のエンドロール』編の最終話。
  • ホータロー案を元に完成したミステリー映画に対する古典部3人の批判、自分が入須先輩に操られていたことを悟るホータロー、再び入須先輩との会談、改めて本郷さんの真意を探るホータローと千反田さん、など。

いつになくシリアスな表情の3人

  • 映画に関する疑問や批判をホータローにぶつける摩耶花、里志、千反田さん、それぞれの表情。
  • とくに里志の表情が鮮烈。いくぶん謎めいた表情の10話とは違って今回は直球の印象。

マリオネット化したホータロー

  • 作品の流れとしては「犯人探し」しか眼中になかったホータローの自嘲的な回顧。
  • この描写以降、知らず知らずホータローが入須先輩の「手駒」として扱われていたことがわかる。
  • ややフライング気味の演出だが、作品後半でホータローが類似のポスターに蹴りを入れるシーンとリンクしていて面白い。

怒るホータロー

  • ホータローが前回の喫茶店に入須先輩を呼び、彼女の真意を問いただすくだりが今回の見どころ。
  • さて、彼が何に怒っていたか。
    • ひとつは、手の内を明かさないまま自分(および周囲の人間)を使っていた入須先輩に対して。
    • もうひとつは(個人的な憶測だが)3〜5話で言及された関谷純のことが脳裏に去来した可能性もある。
    • 関谷純のエピソードから得られる教訓は「自分が知らないまま担がれることの危険性」。なぜ自分はそれに気づかずホイホイと安請け合いしてしまったのだ、という自分への苛立ちもあったのではないか。
    • もっとも、原作でもそのような記述はないようなので単なる憶測と妄想ですが、ホータローが強い語調になるのは5話以来だし・・・
  • ともあれ、今回は上記キャプチャの鋭い眼光、カメラアングルの揺れなど、なかなか真に迫る演出だった。

2人の隔たり

  • 10話と同様に、一瞬で室内の光加減が変わってしまう映像演出。
  • 両者の色合いに差をつけて2人の立場の隔たりを見せる趣向は、7話終盤にも出てきた*1

入須先輩の真意は?

  • 11話終盤は、8話冒頭と同様にPCチャットをする入須先輩のシークエンス。相手はホータローの姉・折木供恵と思われる。以下はアニメ版に出てきた会話文より供恵の発言部分。

そもそも脚本がつまんなかったのが問題だったんでしょう?
そのコを傷つけないようにウケない脚本を却下したかったんでしょう?

  • 最初は笑みを浮かべていた入須先輩の口元が「への字」になっていく描写から察するに、供恵の指摘は図星だったはず。
  • ちなみに原作での記述は以下のとおり。

つまるところ、脚本の出来が問題だったんでしょう?
ウケないこと請け合いの話を却下するために、その脚本のコを傷つけないために。
ちょっとおためごかしをやってみたんじゃないの?
米澤穂信愚者のエンドロール』文庫版248頁より。引用者都合で改行を一部省きました。

  • 個人的には、原作の「おためごかし」という表現を是非とも盛り込んでほしかった。これこそ、入須先輩の「女帝」たる部分を端的に表しているのだから。
  • それはそうと、後輩であるホータローからいくら追求されても動じなかった入須先輩が、供恵からの指摘にハッとしてしまうのは、おそらく彼女が後輩として供恵に接していた経緯があるからだろう。1年生だった昨年までの時点でその性格(巧みな交渉術、手段を選ばない冷徹さ、人を使うスキルなど)をすでに見抜かれていたと(さすがはホータローの姉、ずば抜けた洞察力である!)。

ラストは穏やかに

  • 改めて本郷さんの真意に沿ったストーリーを検討するホータローと千反田さん、原作ではここもPCチャットの扱いだが、2人の表情が伺える部室での会話シーンに変えたのは良い選択だった。原作通りだとかなり寂しげな印象で終わったに違いない。

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

*1:千反田さんとホータローの背景をそれぞれピンク色と灰色に分ける演出でした。もっとも、今回と7話では絵コンテ、演出、作画監督の担当は違うようですが。