『氷菓』16話について。

以下、メモ的に。

  • 原作3冊目『クドリャフカの順番』編の5話目。文化祭も最終日の3日目。
  • 前回の15話までに見えてきたのが以下の流れ。
  • 文集「氷菓」の販売(1)
  • わらしべプロトコル(物々交換でホータローの持ち物が変わっていく)(2)
  • 昨年の文化祭で売られていた漫画「夕べには骸に」(3)
  • 校内で起こる連続盗難事件および「十文字」の署名付き犯行声明文(4)
  • 今まで無関係に見えていた(1)〜(4)の流れが関連性を持ち始めるのが、今回の16話。

文集とわらしべプロトコル

  • (1)と(2)は文化祭初日からリンクしているのだけど。

  • 店番をしているホータローのもとにやってきたのは姉・供恵。
  • 原作ではホータローが席を外した隙に部室に入ってくるのだが、アニメ版では直接の対面。
  • ともあれ、以前からの趣向通り顔出しなし。
  • 供恵が手鏡との物々交換として差し出したのが漫画「夕べには骸に」。

わらしべプロトコルと「夕べには骸に」

  • 部室に戻ってきた千反田さんがさっそく食いついてくるの図。
  • 思わず身を仰け反らせたホータローの視線が千反田さんの胸元に・・・これはアニメ版の演出。
  • もっとも千反田さんはお色気作戦をするつもりではないのですが。

  • 漫画「夕べには骸に」の絵が文化祭ポスターとよく似ていると気づいた千反田さん。
  • 漫研の作業でやや気落ちしていた摩耶花も、ここで水を得た魚のように生き生きとした表情。
  • ここで(2)と(3)がリンクし、この漫画が古典部の関心対象となったところでわらしべプロトコル終了。

漫画「夕べには骸に」と連続盗難事件

  • 2日目にも出てきた渡り廊下でホータローと里志の話し合い。
  • 原作では「連絡廊下の屋上」とされているが、この高校の生徒にとっては屋上も同然の場所なのだろうか*1
  • 漫画のあとがきに言及されていた「クリスティの超有名作」、その超有名作である「ABC殺人事件」を模したような盗難事件、何か関係があるのではとホータローが目をつける。
  • このくだりは「現行犯逮捕」を狙って2度とも失敗した里志が敗北を実感するところでもあろうか。自分では絶対に無理だと思っていた「犯人推定」の道を模索するホータローにこりゃかなわんなという側面が感じられた。
  • ここで(3)と(4)が関連しそうな雰囲気だが、その行方は次回で。

その他の描写について

  • 文集宣伝のために放送部へ立ち寄った千反田さんと、部長の吉野さん。
  • 吉野部長の声担当はキャラクターと同姓の吉野裕行さん。それはともかく目つきと手つきが何かいやらしいのですが・・・

  • 前回も少し出てきた里志のiPhone。この高校は無線LANが使える模様(すごいなあ)。

  • 犯人逮捕を狙って張り込み中の「探偵」たち。
  • 里志の隣にいるのがライバルの谷くん、向かって左には「愚者のエンドロール」編に登場した羽場さんの姿も(里志に背を向けているのは、映画製作で古典部アレルギーを発症したせいか)。

  • 漫研でのハプニング。ちょっとした悪戯心で摩耶花に向かって水をかけようとする女子。
  • この手の嫌がらせをするのは例のコスプレ一派(ボカロ)かと思いきやさにあらず、まあ河内先輩が睨みを利かしている間は下手な真似ができないのかもしれないが、漫研の人間関係は難しそう。
  • 1日目からの衣装から察するに、摩耶花は古い漫画作品にも造詣が深くて先輩たちにも一目置かれており、同時に彼女のことを「1年生のくせに生意気だ」と快く思わない連中も少なくないのだろう。
  • 摩耶花が「コスプレ」という言葉を嫌がるのは、決して自分はお祭り気分を盛り上げるために着ているんじゃない、好きな作品やキャラクターへのリスペクト表明なのだ、という思いからではなかろうか*2
  • ともあれ、このハプニングがあったために千反田さんとばったり再会、探していた「夕べには骸に」とも再会できたわけで。

  • お昼の校内放送、本番前。
  • この直後、千反田さんは緊張のあまりか、挨拶の途中でマイクに頭をぶつける。
  • この頭をぶつけるタイミング、なんとなく「けいおん!!」9話で唯がとみさんに挨拶するくだり(頭を下げた直後、ギターケースに後頭部をぶつける)を思い出してしまって「ああ、やっぱり千反田さんはドジっ娘キャラでもあるんだな」と苦笑。

最後に

  • 今回は細かい描写をのぞけばほぼ原作に沿った展開。原作を読み返しながら「よくできた作品だなあ」と改めて感心した。
  • 上述した4つの流れが関連を見せていく展開はもちろんのこと、里志や摩耶花がみせる挫折感も見逃せないところ。努力したからといって必ずしも実を結ぶわけではないという厳しい現実、さりげない部分かも知れないけれどここが古典部シリーズの味わいでもある。

クドリャフカの順番 (角川文庫)

クドリャフカの順番 (角川文庫)

*1:Googleマップの航空写真を見ると、舞台モデルの斐太高校にも作品と同じような渡り廊下が見えました。

*2:そうした自分の思いを優先させるところが、周囲との隔たりになって現れているのかも知れない。