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『けいおん!』大学編13(きらら)

本日「まんがタイムきらら」7月号を入手しました。前回の予告通り学園祭回での最終話です。

以下、雑感

トップのイラストは白い袖なしワンピース姿のHTT4人。映画版エンディングでの衣装をちょっと彷彿させますがその意図はいかに。
前半では久しぶりに澪がいじられ役ですね。寝起きの寝ている顔をカメラに収める趣向はアニメ版で何度か出てきていますけれど(高校1年の合宿、ロンドン旅行でのタクシー車中など)これがちょっとした伏線になっています。
澪は気が動転すると学校に来ていく服を間違える癖があるのでしょうか。大学編2話では高校の制服でしたが、今回は猫耳+メイド服・・・学園祭を目前に緊張しているとはいえだんだんひどくなっている。そもそも衣装をどこで手に入れたのだろう(猫耳は、高校の部室においてあったのをずっと持っていたのかも)。
2話目でほのめかされていたように、学園祭での衣装は「高校時代の制服コスプレ」かと思いきや、高3の時と同じく「オリジナルTシャツ&制服スカート」でした。Tシャツ制作担当はやはり山中先生だそうですが、唯は今でもつながりがあるのでしょうか、もしかすると憂がお膳立てしてくれていたのかも知れません。Tシャツのデザインについては唯のちょっとした悪戯心が見られます。
また、澪の口から「演奏曲目が決まっていない」との発言。そういえば大学編では曲作りのエピソードが全くといっていいほど出てこなかったですね。高校組では奥田さんが10曲もオリジナルを書いているというのに・・・。
そして、学園祭ライブでは1年生バンド(HTTと恩那組)の対決が呼び物らしいです。なぜそうなったのかといえば部長さんの思いつきなのでしょうけれど、作品構成的には「HTTと、それをライバル視していた恩那組(とくに晶)」という大学編設定の総括をする意図だと思います。高校時代同様、衣装に統一感を持っているHTTと、それぞれが思い思いの私服をチョイスした恩那組、このあたりも対照的で面白い描写ですね。
吉井部長によれば、1年生バンドの対決は、観客の投票によって勝敗を決める趣向。そういえば晶たちの高校でもバンドの人気投票をする回想がありましたし、これまでになかった競争原理(大げさだけど)を話に盛り込むところが、大学編の特色のようですね。
ところで、恩那組の演奏後には5話で言及されていた前田先輩(高校時代の晶が好きだった軽音部の男子先輩)が登場します。
話によれば、この先輩はかねてから晶たちのバンドに目をつけていたらしくオファーをかけてきます。現在は小さなレコード会社の営業担当とのことなので、インディーズレーベルなのでしょうか、晶たちとの年齢差から察するに学生起業家といったところかも知れません。
対する晶はここぞとばかりに告白を試みます。先輩は「髪型」を理由にあっさりと彼女の告白を断るものの、晶はこの先何年かかっても髪を伸ばして再アタックをかける意気込みのようです。
このくだりを読んで頭に浮かんだのがアニメ1期5話の回想で描かれた山中先生です。山中先生も今の晶と同じく、好きな相手に気に入られようと必死に自分の音楽性を修正していましたし、恋愛感情がダイレクトな発奮材料になる(だけど上手くいかない)ところなんてそっくりだと思いませんか*1。さてさて、晶の恋の行方やいかに。
ラストのコマで、ムギちゃんが焼きそばに興味を示す描写はアニメ版からの引用ですね*2

最終話ということで・・・

前号の告知通り、今回が最終話とのこと。ただ、やっぱりこの学園祭エピソードで幕引きという流れには納得できないですね。

ただ、場繋ぎという見方については、どう考えても1年目の学園祭で幕を引くのは作品として不自然だと思います。もし当初から1年限りの連載予定なら、時系列を無視した「こぼれ話」的な内容でつないでいくほうが(変に読者の期待を煽らない意味でも)良かっただろうし、卒業後のエピローグとしてもやはり中途半端な終わり方としか思えません(高校編も同時期に完結となればそちらの違和感のほうがずっと強いですが)。
作者が乗り気でなかった、あるいは途中から意欲が減衰した、という可能性はあるかと思います。それでも、一度引き受けたからにはせめて2年は続けてほしかった、こういう幕切れは読者として残念、新キャラだってまだまだ活かせる余地はあったろうに、というのが正直な思いです。雑誌の予告ページには「グランドフィナーレ」の文字がありますけれど、これが大団円的な締め方とはどうにも納得できない、道半ばという印象のほうが強いです。

これは先月書いた感想からの再掲ですが、この時から自分の思いはほとんど変わっていません。今回は雑誌の表紙に「グランド・フィナーレ」とのコピーが出ていますが、今回のエピソードを読んでも、その形容が相応しいとは到底思えないですね。このコピーを考えたのが編集部・出版社のスタッフだとすれば、彼らと作者の間に意思の食い違い、何かしらの不協和音があったように思えます。
今回のエピソードでは、晶の将来をはじめとして今後の展開に期待を持たせる部分が大きかったのが印象的ですが、それが「読者に余韻を持たせる最終話ならではの演出」とは思えず、本来ならこのまま続いていくであろう物語が、何らかの事情で突如打ち切られた印象を受けました。この13話がこのような展開になった原因は、作者が力尽きたゆえか、編集スタッフとの行き違いゆえか、そのあたりは憶測の域を出ないものの、とにかく後味の悪い幕切れとなってしまいました。
(9月単行本刊行にあたっては、描き下ろしのエピソードで何がしかの補完をするのかも知れませんね・・・)
あと、気になるのは「ゆいあず」の再会ですが、この大学編で一切触れられていないところを見ると、高校編での言及でしょうか。大学編11話では唯が「高校の学園祭が終わるまで邪魔しちゃ悪いかな」と語っていますし。ムギちゃんとスミーレについても何らかの描写が出てくることと期待しています。

*1:蛇足ながら、山中先生については、アニメ版設定の一途なキャラクターが晶に、コスプレ趣味(作って着せる方)の部分が吉井部長さんに、それぞれ継承されていると感じています。

*2:訂正。アニメ版でのインパクトは確かに大きかったとおもいますが(映画でも使いまわしているので)初出は原作3巻でした。