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映画『けいおん!』について、とりあえずのまとめ(2)

12月の公開から映画館に9回足を運びました。いろいろと見どころの多い作品だけに感じたことを書き綴っていけば取り留めのない内容になりそうなので、キャラクター別に段落を設けて書いてみます・・・の後編です。

作品の実質的な主人公ですね。ロンドン旅行前に梓への楽曲プレゼントを発案し、帰国後には「天使にふれたよ!」のキモとなる歌詞パートを思いつくくだりまで、突拍子もなく掴んだインスピレーションで結果的にみんなを引き込んでいく役どころです。
この映画を何度も見ていると、旅行前までロンドンがイギリスの都市であることを知らない無知ぶりを披露しつつ、思いつきのアイデアがすべからく周囲を誘導してしまう唯のキャラクター像には、ややともすれば不自然さやくどさを感じてしまいそうなのですが、HTTのメンバーが最初から唯の言動に依存しているわけではないので、陳腐な印象に陥らないギリギリの線を守っていると思います。
個人的に気になったのは冒頭の「デスデビルごっこ」で、梓の発言を受けて「正直もうふわふわしているのはキツイんだよね!」と洩らしてしまうのが、もしかすると「ふわふわ時間」を作詞した澪への当てこすりが込められているのではないか?と深読みしていまいました。2期後半から唯も作詞能力を開花させているので、そのラインもありかなと思いつつ・・・まあ悪意のある発言ではないですよね*1
もうひとつ付け加えると、旅行前に唯と鉢合わせしたオカルト研の2人が「屋上で宇宙との交信をする」と言う場面があります。旅行後には純が3年生4人について「宇宙との交信でもしてんじゃないの?」と語る場面があります。それだけピックアップすると何のことか分かりませんが、卒業式の後で屋上にやってきた4人、その中で唯が上空を舞う鳥からしっかりと作詞のインスピレーションを受け取っているのが見えます。淡いながらもこの3つには繋がりが感じられますし、宇宙と・・・ではないにせよ何かしらの「交信」はできていたのであろうことを踏まえると、やっぱり唯はインスピレーションありきの人なんだなと再確認させられます。

2期12話より。「私たちのほうがすごいよ!」

旅行1日目の夢で表現されているように、梓には先輩との距離感や将来への不安がずっとつきまとっていると思います。このあたりは、2期スタート時点からのテーマであり、5話の空想や13話の夢で提示された不安の反復でもあります。そこからイメージするのは「自分をおいて先輩たちが遠いところに行ってしまう図」であり、この映画版もそれを踏襲した流れではあるものの、それだけじゃないんですね。
というのも、旅行中においては先輩たちではなく、梓のほうが先輩たちをしっかり率いて動いている部分もある。彼女は決して上級生の後を追いかけるだけの存在ではないんですね。旅行中の夢が示唆するのも「軽音部の中では先輩も後輩もないんだ、みんな対等なんだ」ということじゃないかな、とも思っています。3年生4人にしてみれば「HTTは部活である以前に友達同士の関係だ」という意識が当然のようにあるのでしょうけれど、梓にはまだ先輩たちに遠慮しているというか、距離を感じている部分がずっとあったと思います。
それをうまく解消したのが(先にも書きましたが)りっちゃんによる教室ライブへの誘いかけであり、作品ラストのカットですね。ラストのカットは、その前に出てきた「天使にふれたよ!」内のカットと呼応していて、橋の上で待っているのが先輩じゃなくて梓になっている。両者を合わせて考えてみれば「両者は対等なんだ」という結論に自然と導かれると思います。
加えて言えば、ラストのロケーションを学校の外に設定することで「卒業してもずっと一緒」という方向性が明確にされていました。24話でやや不満だったのは最後まで部室の中に閉じこもってしまって、その先が見えなかったところだったので、未来を感じさせる映画版の幕引きには好感が持てました。
梓個人について言うと、

  • 部室に入る直前、唯の「ずばり留年だよ!」を聞いて虚を突かれた顔をする
  • 靴擦れで歩けないので唯のスーツケースに乗って移動する
  • 旅行1日目夜の「おやすみなさいです」
  • 旅行2日目夜の寝ぼけ眼、澪と紬に向かって小首をかしげる
  • 教室ライブの終盤に先生たちが入ってきたのを見て思わず背を向ける

このあたりが個人的ツボの可愛さでした。
梓の可愛らしさは、決して誰かにアピールするためのブリッ子ではなく、ツンデレでもなく、自然に、おそらく本人も意識しないところで転がり出てくるものなんですね。
旅行中の装いでは、

  • 白+紺のセーラー風ブラウス
  • レッグウォーマー
  • 片眼だけ開けたデザインのアイマス

が良かったです。

1期13話より。このシャツ重ね着が最高にキュート。

*1:映画とは別文脈で、原作には「相変わらず悪気なく人の心をえぐるな・・・」との澪コメントもありますが。4巻39ページ最終コマ。