読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『けいおん!!』第5話に関連したどうでもいい話

前回のエントリーでは、第5話のセッション場面が気に入ったことを書いたのだけれど、あの光景から思い出されるのは5年ほど前に見た山下敦弘監督の『リンダ リンダ リンダ』だった。高校生の女子4人が文化祭でブルーハーツの「リンダリンダ」を演奏するまでの経過を非常にゆるゆるなムードで追った映画で、演奏シーンでの高揚感も確かにあったけれど、それ以上に『けいおん!!』と同じような雨降りの学校、女子校生が食料品を買い出しに行くスーパーマーケットとか、そういった割とどうでもいいパートのほうが印象に残っている。音楽の高揚感とゆるゆるまったりな情景描写、そこらへんのバランス加減が良かったのかも知れない。
ブルーハーツといえば、ぼくが高校生だった時期(ちょうどバンドブームの時代)にはリアルタイムな存在だったし、文化祭で演奏している子も多かった。このバンドをどう位置づけていいものか今でもよく分からないのだが、素朴ではあるにせよ社会批判的な歌詞もあり「大人は判ってくれない」的なマインドで俺たち世代の代弁者として共感する向きも多かったかと思う。もっとも、あんなのはパンクじゃない、ロックですらないと軽蔑する向きもあった。
高校2年の時には、ブレザーの制服にネクタイを義務づけるかどうかで校内が紛糾しており、全校集会で滔々と反対の意を表明した上級生が文化祭ではモヒカン頭でハードコアパンクを演奏していた。まあ、その後のステージでは女子5人組がアコースティック編成でプリンセス・プリンセスなんかを和みムードたっぷりに披露してたりして、なんだかなあな印象もあったのだが、ある部分ではロックというものが「大人世代への反発」という文脈で(かろうじて)共有されていた時代だったのかも知れない。

少なくとも、文化祭で制服を着て演奏するバンドなど皆無だった。そういう発想がハナからなかった。
話は『けいおん!!』に戻る。第2期の1話だったか、新歓ライブの際、例によって自前のステージ衣装を勧めるさわ子先生に部員たちが「制服でいいです!」と反対するシーンがあった。さわちゃんのコスプレ趣味は男性サイドの幻想を反映したものとも言えるけれど、桜高軽音部の古い写真から窺えるように、さわちゃん以上の世代においては「ロック=大人世代への反発」という前提があったわけで、制服姿でバンド演奏するなんて発想がなかった、そんな背景が歪んだ形でコスプレ趣味として表出しているのかも知れない。蛇足ながら、さわちゃん時代の写真を見つけた唯が「軽音部ってこんな人たちばかりだと思っていた」というのは、どう考えても現役高校生の発言ではない。あれは30代以上の感慨だろう。