『氷菓』9話について。
以下、メモ的に。
- 今回は『愚者のエンドロール』シリーズの2回目。未完のミステリー映像における犯人は誰か、2年生の先輩たち(探偵志願者)の推察を聞いた上で、ホータローがことごとくダメ出しを決める展開。
- この9話では、山田尚子さんが絵コンテと演出を担当していることもあって『けいおん!』関係の話も少し。
原作との違い(1)
- 原作では、2年生の先輩3人との話し合いは1日1回ずつ、ホータローたちが2年生のいる教室に出向いていく。
- アニメ版では、三度の話し合いを1日にまとめており、古典部員ではなく先輩たちのほうが1人ずつ教室に立ち寄る流れに変更されている。
原作との違い(2)
- 話し合いでの着席位置について。ちなみに原作での描写は以下の通り。
その教室の、最前列に陣取って、腕を組んでいる男がいた。(中略)こちらに、と誘導する江波に従って俺たちは中城と向い合って座る。
米澤穂信『愚者のエンドロール』文庫版79ページより引用。
- 上記の記述をそのまま信じるなら、古典部4人がずらっと横並びに座って、2年生と対面する図になるだろう。
- アニメ版では、教室壁側に古典部員3人(千反田さん、摩耶花、里志)が並んで座り、彼らと向かい合うように2年生が座る。ホータローは教室の出入口から一番離れた奥の席をとる*1。
- いわば「上座」に鎮座する格好。下級生なのに上座を陣取って先輩たちを迎え入れるとは・・・見方によっては何とも不遜な図かも。
- そういえば、けいおんシリーズにおいても、下級生の梓が部室で「上座」を定位置にしていたのだが(まあ、高校生の話なので年上の人間を差し置いて云々というのはいささか考えすぎかもしれない)。
ホータロー=議長?
- ただ、けいおん2期25話では、一時的に律が梓に変わって上座に着席、ここが「議長席」の扱いになっている。
- 2期11話においても、同じように澪が「議長」としてこのポジションを借りている(見にくいですが、澪の手前に「議長」と張り紙をしたお菓子の缶が置かれています)。
- けいおんの描写と同じく「臨時の着席位置」である点を考慮すると、今回のホータローも「議長」なのかも知れない。
- 司会進行こそしないものの、話し合いの場で彼が自分の意見を出すことはほとんどないので(もっとも、先輩が退席してからホータローがそれぞれの意見をまとめる形で先輩案にダメ出しをするのだが)。
探偵志願者の2年生たち
- 左から順に、中城さん、羽場さん、沢木口さん。以下にアニメ版キャラデザの印象など。
古典部員たち
- 摩耶花:かなり積極的に意見や質問を繰り出す。熱が入って顔をゆがめる場面も。シャーロック・ホームズのことを軽く見ている羽場さんに腹を立てるくだりは、里志への愛ゆえか。
- 里志:摩耶花ほど口数が多くないものの、推理小説に詳しそうな雰囲気を漂わせる。
- 千反田さん:定番の「気になります!」は出てこない。持参のウイスキーボンボンを食べ過ぎたせいで変に高揚したテンション、周囲を納得させられる意見は出せていないものの(脚本担当の)本郷さんの真意について何かしら思うところがあるようだ。これは次回以降の伏線であろう。
- ホータロー:千反田さんと相対する場面はほとんどなし。上機嫌の千反田さんを「酔っぱらい」の一言で片付ける。
その他
- 中城さんの決め台詞「犯人はお前だ!」に続いてサスペンスチックな「日本海の断崖絶壁」風の情景*2。このシーンでは中城さんが刑事役、ホータローがうなだれた表情の犯人役。押しの強さでもってすれば簡単にホータローをやり込められる、という自信の程が伺える描写。
- 沢木口さんが「7人目の登場人物」を示唆するくだり、登場人物がいつもの記号的な描写ではなく動物になっている。これはなかなか可愛かった*3。
- 他の回想・推察シーンは、記号や図を用いた「分かりやすさ重視」の演出が多く、奇をてらったものは少なかった。
- 「議長席」については、こちらのブログ記事を参考にいたしました。ありがとうございます。→http://ameblo.jp/ishinkaia/entry-11124134634.html
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