『氷菓』6話について。
以下、メモ的に。
今回は古典部シリーズ4冊目『遠回りする雛』からの短編。1〜2話的なインパクト重視の映像演出が目立っていた。
映像演出の数々
- 天使の千反田さん(里志&摩耶花による「チタンダエル」を受けての表現)
- ホータローの体にまとわりつく無数のちびえる
- 先生と生徒がマネキン、先生の顔がナマハゲ、生徒の顔には「おかめ・ひょっとこ」のお面、千反田さんだけノーマル描写(千反田さんが受けていた数学授業の回想)
- ホータローが謎解きを説明するノートのイラスト(千反田さんと摩耶花の絵が出てくる)
- 千反田さんとホータローの周囲をそれぞれピンク色・灰色に描き分けるイメージ
初見では「ちょっとやりすぎか」の印象でした・・・
- 3〜4話と違うのは映像演出を「謎解きプロセスをわかりやすく見せる」ためでなく「とにかく視聴者にインパクトを与える」ために使っているようで、やや違和感。
- こと授業回想のくだりでの演出は不必要、3〜4枚の静止画カットを使えば充分に伝わるのでは?
- とはいえ、千反田さんのイメージ映像については再見するとなかなか面白かったりする。
天使の千反田さん&ちびえるは対比的な表現
- 天使像は、ホータローにとっての僥倖を示すイメージ。
- 直前の千反田さんのセリフ「疲れることはしたくありません」を受けて「やっと自分の省エネ志向に共鳴してくれる『心の友』を得た!」とホータローは喜ぶわけです。長年つるんでいる里志ですら性格は正反対ですから(もっとも、すぐにそれがぬか喜びだと分かるのだけど)。
- 前述のとおり天使像は「チタンダエル」からの連想であり「心の友」が天使の姿である必然性はないのだが。
- 無数のちびえるは、それと正反対のイメージ。
- 千反田さんが「とにかく私、気になります!」とホータローの側に身を乗り出してくるカットを受けての演出。
- いくら可愛い女子であっても、自分のペースを乱す奴は純粋にウザイ。それがあの気持ち悪いイメージとなってホータローの脳裏に浮かんだのだろう。
ホータローに謎解きを催促する千反田さんのリアル描写
- 向かいに座っているホータローの方へ身を乗り出すカットは、真正面・横・お尻付近と、様々な角度で描かれている。
- 横からのショットが分かりやすいけど、千反田さんは腰のあたりから長机に腹ばいの態勢。
- 第三者的には「年頃の女子がそのポーズはちょっと・・・」と思うのだけど、まあエロいと言えばエロイか。
ホータローについて
千反田さんとホータローの距離
- ラスト近く。左に千反田さん、右にホータロー。それぞれピンク色と灰色の背景。
- 千反田さんのいるピンク色の背景には花吹雪が舞っているが、それはホータローの方には届かない。
- これは1〜2話のイメージ映像とは対照的で、今の千反田さんは単純にホータローを「薔薇色」の世界に誘ってくれる存在ではなく、むしろ両者の隔絶が強調されている*1。
- ホータローにとっての千反田さんは「近いようで遠い、意外と理解しがたい存在」ということ。
内省的なホータロー
- 終盤では、千反田さんのことを理解しているようで理解していなかったホータローの内面が語られる。
- こうした内省的な部分の吐露は、おそらく「愚者のエンドロール」編の後半で見られると予想している。
今週の摩耶花
- 冒頭、里志との喧嘩。息も切らせず次から次へと啖呵が飛び出してくる。原作でも句読点で切らないセリフ回しになっているけど、アニメ版ではそれをより強調した演出。今までにない趣向か。
- ホータローの謎解きに悔しがるショットは定例通り。ただ、今回は摩耶花の動くカットがほとんどないのが残念。
その他
- ホータローのノートに書かれた似顔絵のヘタウマ加減は『けいおん!』のホワイトボードに見られる唯の落書き風でもあった。
- 部室でホータローが読んでいたのは、篠田節子作『夏の災厄』という文春文庫。原作出版元の角川を差し置いて他社の商品を持ち出すには何らかの理由があるのだろうか。その本の内容が関連ありなのか(原作には出てこない)。
- 渡り廊下付近からのショット、左手に赤い三階建ての建物が目についたけど、あれは今後出てくる?
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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