『けいおん!』高校編12(きららキャラット)

昨日「まんがタイムきららキャラット」7月号を入手してきました。
大学編と歩調を合わせるように学園祭間際の話。まずは前回11話の流れを汲む形で「先輩風を吹かす」梓にスポットがあたっています。梓が後輩にアプローチしていく流れを作ったのは憂ですが、その憂もやや予想外といった面持ち。まあ何にせよ梓の挙動には唯の影響が色濃く反映されているのは間違いないですね。
また、梓の口から「学祭で引退」という言葉が出ているところもポイント。大学編のみならず高校編でも学園祭が物語の締めくくり(あ、言っちゃった)となることを踏まえてのセリフと思いますが、昨年の自分とはまた違う形で軽音部に残される後輩たち、しかも奥田さんやスミーレは梓とちがって音楽経験ゼロ入部してきた子たちですし、その2人がまた来年の春には新しい部員を迎えて、彼女たちが中心となって部活を切り盛りしていくことができるだろうかといった将来への不安、そういったものがリアリストである梓の脳裏には渦巻いているんじゃないか、などと想像してしまいます。
音楽について初心者とはいえ独自の路線でスキルを見せている奥田さんとは対照的に、必死になってドラムを習得してみんなについていこうとするスミーレのポジションも興味深いところです。スミーレという子については、けいおんシリーズにおいて珍しく「努力している」姿が描かれているんですよね・・・。
中盤は、スミーレが奥田家にお呼ばれするエピソード。この描写については、奥田さんが5人兄弟だという話が出た頃からひそかに期待していまして、以下は昨年の8月、5話当時に書いていたのを再掲。

奥田さんは5人兄弟の一番上だそうで、うーん・・・学校の帰りにスーパーで食材を買い込んでたり、幼い弟や妹を背負って夕飯の支度してたり、ふとそんな描写が目に浮かびます。今期の放映アニメでは、アイマスのやよい、花いろのなこち、少し前では俺妹の黒猫とか、親代わりに家事に精を出す姉キャラクターをちょいちょい見かけますが、そのうち奥田家でにぎやかな夕食会が催されるかも知れません。

4人の弟が四つ子だったとは・・・それぞれを描き分ける余裕がなかったんじゃ?という詮索はするだけ野暮ですね。アニメ2期のりっちゃんよろしく奥田さんが手料理を振る舞うのかと思ったら、その役回りはスミーレでした。ともあれ弟くんたちにも好評のようで、アニメ版に出てくるムギちゃんの豪勢なお弁当もスミーレ作なのかとまた勝手に想像。
就寝前に、奥田さんがスミーレに投げかけるセリフが異色の出来栄えで。

・・・私、この家族が大好きなんだ。その居心地の良さみたいなのを軽音部でも感じてる。家族だったら失敗なんて気にしないし、むしろ助けてくれると思うよ。
(6ページ目より引用)

事前に奥田ママの顔出しがあったりするんですが、部活を「家族」になぞらえる趣向がとてもユニークに感じました。奥田さんにしてみればスミーレを元気づけるためにふと思いついただけなのかも知れませんけれど、読み返してみればとても重みのあるセリフ、これには思わず泣けてきました。個人的には、スミーレの「つっこみたい所」というのが何なのかイマイチわかりませんが、ともかくこの1年生2人のキャラや関係性をしっかり描こうとしてるんだな、というのが伝わってくるくだりでした。
終盤、スミーレにとって難題だった発表曲には奥田さんの「手違い」があったというオチがついています。前回11話、今回の前半部分と同じく、ここでも憂と純は遠くから見守っているようなポジションですね。憂がスミーレに発破をかける描写はあるものの、純はわりと冷めた目線とコメント。1年限りのヘルプ要員だと割りきっているところもあるんでしょうね(ただ個人的には、高校編を通して、純ちゃんの愛用ベース・ヤマハSBV-500のしっかり映っているカットが殆どないというのがやや寂しいところですが)。
で、最終ページに告知があるように高校編も次回で終了だそうです。
これに関しては、あれこれ詮索する気もなくただただ残念の一言です。もともと1年限りの連載予定だったという推測には簡単に納得したくないところなのですが、ここまで大学組と高校組を鉢合わせさせることを禁じ手にして、最後にやっとその封印が解ける・・・というのは美しい展開と言えなくもないか。それでもあと1年くらいかけて梓たちの高校卒業までをしっかり描いてほしかったし、大学編については唯が母校に錦をかざるまでを視野に入れてほしかった、そんな思いを持っています。
それはそうと今回はなかなか密度の濃い8ページでした。最終話では、大学編で唯と梓、高校編でムギとスミーレ、それぞれの再会にスポットが当たるのではと予想していますが、それはまた来月のお楽しみということで。