『けいおん!』高校編11(きららキャラット)

先日購入した「まんがタイムきららキャラット」5月号を読んでの感想。
今回は「梓のお悩み回」といったところでしょうか。学園祭が終わるまでは会わない、という思いは(前回の大学編における)唯と共通する点ですね。これはおそらく連載再開当初からの作品コンセプトなのでしょうけれど、意識して相手を遠ざけているところが周囲にモロバレ・・・それはともかく学園祭も間近のようです。
昨年度までの軽音部はライバル不在というか、他のバンドを意識することなく活動してきたわけですが、今年は違う。梓にとっては、かつて自分も在籍していた「放課後ティータイム」を超える成果を出さなければいけない!というある種の使命感を負った1年なんですね。ただ、梓と同じポジションでその思いを共有する仲間がいないのも事実(憂と純も入部1年目なので)。
思い返せば、梓だけが他の子たちと違って「先輩たちのかっこいい演奏に憧れて」入部を決めた経緯を持っているので、何かにつけて先輩というものを意識してしまう傾向があるのかも知れません。ご存知のように1年生たちの入部経緯は全然違うし、同級生の憂と純は部員というよりも1年限りのサポート要員的な立ち位置だし、結果的に梓の上昇意欲だけが空回りしてしまうのも無理からぬところなのですが。
そうした部分を含めて、梓が自分の立ち振る舞いにハッと気付くのが今回のポイントでした。そんなプロセスを期待した上で憂と純はさりげなく席を外すのですが、少し離れた所から梓を見守るスタンスは前からずっとそうでしたよね。

梓「そういやそうだ・・・私は放課後ティータイムよりいいバンドを、前の軽音部よりいい軽音部を・・・そればっかり考えてこの子たちにちゃんと向き合って来なかったんじゃ・・・!?」
(7ページ目より引用)

今回のエピソードは、アニメ版2期16話*1で「カムバック私!」と梓が自分にハッパをかけて、自分自身のあるべき姿、軽音部のあるべき姿を模索する趣向と似ていました。そうしたスタンスは1年前とあまり変わっていないようですが、現在の梓は「部長として自分がみんなを引っ張っていかなければ!」とのプレッシャーを感じていますから、意気込みと同じ位の不安があるんだと思います。だから周りも自分も見えていない。そんな自分自身を周囲の存在によってハッと気付かせる流れが良かったです。
あと、細かいネタについて。

  • 2ページ目では唯の帰省が話のネタになっていますが、1ページ目で意欲まんまんの表情を見せる梓には唯の「ふんすっ!」を少しばかり彷彿させるところもありますね。たぶん、知らないうちに意識していたのでしょう(前述の2期16話では、部室に入る前に梓が無意識に「ふんすっ!」と発声する箇所がありました)。
  • 8ページ目で1年生の2人に抱きつくくだりは明らかに唯の行動を反復したものと思いますが、これが意識的な行動なのか、無意識の行動なのか、どうなんでしょう。アニメ版のエッセンスを取り入れていると仮定すれば後者の可能性が高いですね。梓が口にした「伝統」という言葉も、映画版のラストパートで唯が言う「私たち、ちゃんと伝統を受け継いでるんだ!」を無意識になぞったものと考えることができそうです*2

というわけでもうすぐ学園祭。連載再開時からの「ゆいあず封印」が解かれるのかとか、スミーレや奥田さんの挙動も気になるところです。もっと言えば3年生たちの行く先や、単行本の発刊も気になるのですが、それらの結果よりも経過のほうを楽しみたい気分でもあります。

*1:これも、学園祭を直前に控えた時点の話でした。

*2:もっとも、今後も「伝統」を軽々しく口にするようだと胡散臭くなってしまうので・・・と杞憂。