『けいおん!!』第23話を見てHTTの「ノープラン」ぶりに嫉妬する。

卒業式を明日に控えて、最後の放課後は余韻たっぷり。
まあ、余韻といってもHTTの子たちは自分たちの高校生活をいちいち振り返ってみたりするわけじゃないんですけどね。

大事なのは「今」。
大事であり、楽しく、愛してる。
それだけなんです。
「けいおん!!」ED、『NO,Thank You!』のロックンロールは鳴り止まないっ - たまごまごごはん

大事なのは今・・・そのあたりをキャラクターとしていちばん体現しているのは(ED曲を歌っている澪ではなく)主人公の唯なんですけれど、今回の話ではそういう部分が前面に出ていたと思います。
後半では、唯の発案で「自分たちの活動記録」としてHTTの演奏を全部カセットテープに録音することになりますが、もちろんこれは事前に計画していたことではなく、たまたまその日に見つけた和ちゃんの「生徒会アルバム」の写真に触発されての行動。HTTのメンバー、とりわけ唯にとっては記録の内容(過去)はさほど大事ではなく、記録する行為(現在)が面白くて楽しいからやってるだけなんでしょうね。
たまごまごさんのエントリーを引用したついでに書くと、ED曲のサビで澪が「想い出なんて要らないよ」と歌っているところがちょっと気になったのですが、あれは「今」しか見えていない唯のスタンスとは全く違うんですよね。澪は常に過去も未来も視野に入れた上で計画的に行動するタイプだし、時には唯のペースに引きずられることもあるけれど、最終的には「数ある選択肢の内から自分はあえてこれを選んでいるんだ」といちいち自分自身を納得させなければ先に進めない。上記の歌詞は、過去の想い出に浸る選択肢を想定しつつも、あえて自分は「現在」にコミットする道を選んだのだと、そういう彼女なりの「意志表明」なんじゃないかと、ふと考えました。
ところでカセットに録音といえば、ぼくも高校生の頃やっていました。別にバンドを組んでいたわけでなく、親がいない時に自宅でこそこそっと自作曲でギターの弾き語りしたり、その上にギターソロを被せてみたり、そういうのをラジカセとかステレオコンボでやってたことがあります。音としてはどうしようもなくヒドイものですが、あの頃は録音してテープに収めることを「レコーディング」と言ってみたり、そのどうしようもなくヒドイ音像の集積物を「アルバム」と言ってみたり、それを友達に聞かせてみたり、そういう行為のいちいちが面白かったんだと思います。
もしあの頃、バンドを組んだりして、自分と同じ記憶や感慨を共有できる仲間がいてたら・・・と思わないでもないです。そういう意味では、HTTのメンバー、とりわけ行き当たりばったりで無計画に突進する唯には軽く嫉妬を覚えたりもするんですが(苦笑)。
おっと、自己言及はこのくらいにして・・・
ラストでは、いつのまにか部室のホワイトボードが真っ白、唯画伯の傑作イラストはきれいに消されていました。ここには「立つ鳥跡を濁さず」という意味合いもあるんでしょうけれど、りっちゃんの何気ない一言「ノープラン」を表したカットのようにも思えました。過去にも未来にも一切言及せず、ひたすら「今」にコミットしていく『けいおん!!』の心意気といったところでしょうか。