京都府立文化芸術会館でヨーロッパ企画『サーフィンUSB』

以前からヨーロッパ企画の名前はちょくちょく耳にしていたし、上田誠さんがアニメ『四畳半神話大系』の脚本を手がけていることも知っていたけれど、舞台を見に行くのは今回がはじめて。というか、ほんの数日前にRSSリーダーに入れている烏丸経済新聞のサイトで今回の公演を知ったわけでほとんど飛び込みのように当日券を購入。前売り券がかなりさばけていたようで、ぼくがゲットできたのは最後尾の補助席でした。
往年のサーフロックナンバーをもじったようなタイトルですが、舞台は近未来の日本。おそらく地球温暖化で水没しかけた都市部の一角でサーフィンに興じている若者たち、そこにIT系セールスマンが彼らのサーフィンをネタにしたバーチャルゲームの企画を持ちかける、といった話の内容。タイトルの意味については言うだけ野暮ですな、見てのお楽しみ。
環境問題、文明批判の色合いが強く感じられる舞台ですが、優等生的な上から目線や、ベタな自然回帰志向になっていないところもお見事。それ以上に、けっこう笑える場面が多くて、というかぼくは最後までほとんど笑いっぱなしでした。ひとりがボケると周囲が寄ってたかって集団ツッコミを入れる、その流れやテンポが非常に良くできていたと思います。まあ、笑いながらも、現実にこういう話もあるやろなあ・・・と考えさせられる部分もあり、正直なところずっと笑っていいのか、もう少し真剣に見たほうがいいのか、とちょっと悩んだりもしました。
舞台設定の点では、幅や奥行きではなく、高さ(上下の空間)を活かしたセットの組み方が面白かったです。キャストの立ち位置によって各々の立場関係が視覚的にパッと入ってくる仕掛け。絵画でいえばミケランジェロの「最後の審判」を思わせるところもありました。それから、舞台の前方に薄いスクリーンをかけてそこにクレジットを流す趣向も良かった。あれはいろいろと舞台効果として応用できそうだなあ。
舞台演劇を見るなんてもう何年ぶりだろうというくらいのご無沙汰でしたが、ほとんど予備知識がなくても充分に楽しめました。これから東京や大阪など各都市を回っていくそうなので、ヨーロッパ企画を見たことがない人もぜひ。
ヨーロッパ企画第29回公演『サーフィンUSB』