『けいおん!!』第10話を見た。

まあ、第2期は2クールもあることだし、原作のネタだけで引っ張っていくのは限界があるだろうな。というわけでかどうかは知らないけれど、今回もアニメ版オリジナルの回。
さわちゃんが高校時代に組んでいたバンド(DEATH DEVIL)がコワモテのメタルバンドだということは、第1期の段階ですでに明らかになってたんだけれど、演奏のくだりを見るにつけ、いやあ何とも80年代の匂いが濃厚で懐かしいというか何というか・・・。
ぼくは昔からメタル方面に明るくないのですが、パッと思いついた女性のバンドがこれ。

確か中学生の頃に、FM大阪「日清パワーステーション」というラジオ番組でSHOW-YAのライブ演奏を聞きまして、その時のMCがそれこそ「てめえら聞けやコラ」みたいなノリで、いやあコワイお姉さんたちがいるもんだなと圧倒されたのを覚えています。
個人的にはそれほど深入りしなかったジャンルだけど、80年代末期から90年代初頭にかけて10代を過ごした自分の経験を振り返ってみると、ハードロックとかヘヴィメタル系のインパクトはやはり強烈なものであったわけで、*1その当時の個人的ファースト・インプレッションをわかりやすくガツン!と再現してくれる意味でも、今回のDEATH DEVILは面白い題材でした。
ちょっと注文をつけるとすれば、二次会ライブのサウンドがやや貧弱に思えたこと。オープニングの"GO! GO! MANIAC"とくらべても音量が寂しい。もっと重低音をずどーん!と響かせてほしかったな。
それと、第8話から続く進路調査票ネタ。

さわ子が歩んだ道。
それは今軽音部が歩んでいる道と、非常に似ています。
もちろん、個性様々だから必ずしも同じではありません。なんせ音楽性が全然違いますし。
しかし、高校三年間で燃やした情熱や「楽しい!」は同じだったはず。
だから、進路調査票には「ミュージシャン」と書いて突っ返されました。
あーあ、唯・律と同じだったよ! やっぱりだよ!
大人になったら大人になれるのかな。「けいおん!!」第10話 - たまごまごごはん

やっぱり、やっぱり!
もう、これで唯ちゃんの将来はほぼ確定ですね(笑)。

最後にムギちゃんについて。
今回の第10話では、いつにも増してムギちゃんがノリノリなんですが、この人については「実家が大金持ち」「普通の女子校生ライフをエンジョイしたい」くらいのことしか触れられておらず、他のキャラクターと比較すればかなりアンバランス。彼女の背景を掘り下げて見せる回は一度もなく、第2期を半分近く消化した今でも不思議な立ち位置が続いています。
この不可解さについて納得できたのが以下のエントリー。

軽音部の一員として、一番近いところで軽音部の仲間を見つめ、軽音部のために行動し続けた紬こそが―――このアニメの“視聴者目線”だったのかなぁと思いました。

 “視聴者目線”という言葉が合わないのなら、“語り部”でも良いかな。
 アニメ『けいおん!』は琴吹紬が紡いでいた物語だった―――と言われても自分には違和感がありません。
 「実はアニメ『けいおん!』は琴吹紬が病院のベッドの中で、もしも元気に高校に通えていたらと夢見て妄想した話だったんだよ!」と言われても、違和感はないけど哀しいです。
『けいおん!』アニメで琴吹紬が担っていた役割を想う やまなしなひび-Diary SIDE-

第1期放映時点で書かれた文章のようですが、確かにそうだなあと思いました。
考えてみれば、人物としての厚みがほとんどないキャラクターだからこそ、視聴者の視線を物語の中に引き入れていく役割を担わせることができるのかも知れません。とくに男性視聴者にとって女子校生ライフはまるっきり未体験の話ですから、何事につけ「私、初めてなの!」と目を輝かせる、あるいは自分の百合幻想にハマるムギちゃんの存在は貴重かも。

*1:そういえば、金曜の深夜に放映していた「SONYMTV」に出てくる洋楽PVの半分くらいがメタル系だったし。