駅ビルシネマで『ロシュフォールの恋人たち』

9月から10月にかけて、京都駅の東階段7階の特設映画館でやっている上映企画です。本作と同じくカトリーヌ・ドヌーヴ主演のミュージカル映画シェルブールの雨傘』は以前に見たので今回はパス。この『ロシュフォールの恋人たち』は、映画を見ていなくてもミシェル・ルグランのテーマ音楽は聴いたことがある、という人は多いと思う。全編にわたって流れる軽快なジャズナンバーに合わせて男と女が歌い、踊る。それだけの映画。非常に分かりやすい。
主人公(ドヌーヴ)と双子の姉(演じているのはドヌーヴの実姉であるフランソワーズ・ドルレアック*1)が、それぞれ運命の男性と結ばれるまでを描いたストーリーだが、その中身はスカスカの夢物語といってもいいだろう。まあ、そのスカスカ具合ゆえに理屈抜きで楽しめるのだが。
出演キャストは(今の美的基準で見るべきではないのだろうが)さして美男美女揃いというわけでもない。男性陣はどこにでもいそうな顔立ちで、ドヌーヴ姉妹はけっこう老け顔。一応は美女のカテゴリーに入るんだろうけど、いつ頃からか「カトリーヌ・ドヌーヴは顔が長方形*2」という認識がぼくの中で芽生えているので、彼女の容貌にはあまりそそられない。ストレートヘアだとよけいに顔の長さが際立ってしまうし、うーん。本作ではウェーブのかかったショートヘアにしているシーンがほんの少しだけあって、その部分はけっこう可愛かった。可愛らしさでいえば、カフェの手伝いをしている女の子のほうが高ポイントですな。
カラフルな衣装に身を包んだ女性陣が街中で踊るシーンの数々は、3年ほど前に見たチェコの映画『プラハ!』と似た雰囲気だったな。もっとも『プラハ!』が本作や『シェルブールの雨傘』をお手本にして作られたのだろうけれど。ともあれ、この映画を見て「フランスはおしゃれな国!」と単純に信じ込んでしまった日本人女子も結構いたんじゃないかな(フランス人の一般的な装いは日本人よりも地味だし)。ミュージカルという点では、アメリカのブロードウェイとかがお手本になったのかな、よく知らないけれど。ジーン・ケリーをはじめアメリカ人俳優も出演している。

*1:フランソワ・トリュフォー監督『柔らかい肌』などに出演、25歳の若さで亡くなったとのこと。ウィキペディアより。

*2:正面から見たとき。