山田尚子さんの発言から

長らく開店休業でしたが、あまり長い話を書く力もないのでちょろっと。
11月30日に催された「京都アニメーションアニメーションDoファン感謝イベント」の監督対談(with 石原立也さん、武本康弘さん)の最後のほうで聞けた発言(手元のメモ帳に急いで書き取ったものなので、多少聞き違いがあるかもしれません)。

(仕事について)自分は話すことが苦手だが、アニメ制作をしながら「作品を通してお話ができる」ようになった。自分がそういう媒体にいられることはありがたい。人の心を動かすようなことができたら嬉しいし、いろんな形の表現方法を勉強していきたい。

そういえば、似たような話をどこかで聞いたなあと、Evernoteの記録を探してみると『たまこまーけっとBlu-Ray1巻のスタッフコメンタリー(2話、みどりの祖父のセリフが終わったあたりから)であった模様。以下書き起こし。

(みどりの揺れる気持ちについて他スタッフからコメントを求められて)言葉にできない気持ちを・・・言葉にできないから表現してみました。なんかね、映像を作れて嬉しいなと思うところは、そういうとこかも知れません。言葉で言うのは苦手なんで、絵で見せていける、動きで見せていけるというのは、かなり自分としてはすごく良い、ありがたい。

ところで、この2話では「星とピエロ」マスターの「誰にも名前の付けられない気持ちがある」という名言もありました。名前が付けられないというのは、言葉に置き換えられないことでもあり、劇中ではみどりちゃんの表情の移ろいがまさにそういうものであったなと再確認。
この『たまこまーけっと』では「母の死」を言葉で明確に語ることを最初から最後まで禁じ手にしていましたし、それを演出のテクニックと言ってしまえばそれまでですが、山田さんが自分の特性を意識的に作品づくりの中へ取り入れたと言えるかもしれません。また『けいおん!』シリーズにおいては、劇中のセリフだけでなく、手や足のモーションが人物の思いや立場を雄弁に語る演出がありました。そのほか、人物以外にも、背景描写や音楽の中から語られる要素を何かしら感じることもできるでしょう。
ぼくとしては、今後の作品でもそういうところを楽しみたいなあと思っています。
上記対談では『たまこまーけっと』についてややフライングな発言も飛び出していましたが、個人的にはさほど大した話ではなくて、どういう形であれ続編(新編?)ができるなら見てみたいと思っています。そうは言いつつも、自分の中では一応の完結を見た作品でもあるので、この後どのような作品世界を見せてくれるのか不安も少しあります。無理に話を引っ張っただけの展開にはならない!と思いたいところですが。

たまこまーけっと (1) [Blu-ray]

たまこまーけっと (1) [Blu-ray]

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