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『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を見た。

Tジョイシネマ京都にて舞台挨拶と合わせて鑑賞。
舞台挨拶付きのチケットは抽選応募形式なので、わざわざそれを求めたということはよっぽどの作品ファンと思われるかも知れませんが、ぜんぜんそういうことはなくて運良く当選しましたというのが実情です。もちろん嫌いな作品ではありませんが、テレビ放映分を毎週期待しながら鑑賞しつつも違和感を抱くところもあり、ぼくにとっては少しばかり屈折した印象のある作品です。
違和感というのは、放映版の最終話(11話)、こと終盤に見られる「かくれんぼ」のパートですね。見る人によっては登場人物と一緒になって泣いてしまうほどの感動エピソードかも知れないけれど、ぼくはあのくだりに芝居臭さ、話の流れありきで強引にキャラクターを動かして喋らせているような不自然さを大いに感じた・・・まあ、つまるところ好みの演出ではありませんでした。
それと、毎週見続けていると「次はどう来るんだろう」という期待感で作品の印象も押し上げられていったのだけれど、最後の最後で「ええっ?」と肩透かしを喰らうほどがっかりしてしまいました。それから、リアルタイムでの鑑賞後ずっとこの『あの花』から遠ざかっていまして、今回の映画鑑賞を前にしても「また大きな違和感で期待を裏切られるのでは?」という不安がありました。先日、約2年ぶりに録画していたディスクを見返しましたがやっぱり最終話付近の違和感は拭えませんでした。
前置きはこのくらいにして、劇場版の舞台は放映版から1年後ですね。
もっとも、作品の大半は放映分の再現なので、そういう意味では総集編的と言えなくもないのですが、あくまでも放映版から1年経った時点から過去を振り返るという趣向になっているので、そのあたりは例えば昨年上映された『魔法少女まどか☆マギカ(前後編)』とは性格を異にしていますね。
回想部分には、号泣オンパレードな最終話の描写もしっかり盛り込まれています。あのパートが躓き要因だった者としては「もう、早く終わってくれないかなあ」と何とも居心地の悪い気分もありました。まあ、あのパートがあるからこそ現在(1年後)のパートの穏やかなムードに癒やされるのかも知れませんが。
1年経った「超平和バスターズ」のメンバーたちは少しずつ変化が見られました。あなる(安城鳴子)はまだモヤモヤした感情(特に恋愛面)を抱えていますが、ゆきあつ(松雪集)やつるこ(鶴見知利子)はパッと見で落ち着いた印象、とくに私服姿のつるこはグッと大人っぽい雰囲気になっています。ぽっぽ)(久川鉄道)は5人の中で一番変わっていないかも知れませんが、じんたん(宿海仁太)は今までのふてくされた感じではなく随分と落ち着いた表情を見せているのが印象に残りました。ぼくにとっては、じんたんの穏やかさを見られたことが救いでしたね。
物語の詳細には触れませんが、特にじんたんが亡くなっためんま本間芽衣子)との再会そして別れにいたるプロセスについて「あれは決して無駄ではなかった、むしろ自分たちにとって有益なものだった」と振り返る姿勢が良かったと思います。過去にイヤなことがいろいろあったけど、もう過ぎたことだから(あるいは、自分もそろそろ大人なんだから)いいかげん昔に囚われるのはやめよう、というのではなくてもっとポジティブに受け止めているようでした。
まあ、誰もが過去にケリを付けているという訳ではなくて、例えば、あなるの抱えている想いのいっぱいいっぱいな感じ、何となれば洪水のように溢れ出てきそうな感じは新エピソードの中ではひときわ鮮烈でした。ファーストフード店でのくだりは最終話の再現よりも(しつこくてすみません)ずっとグッと来ますね。作中では、あなるの見せる不安定さが印象的で、今後もしかすると仲間の人間関係が危うくなる可能性をはらんでいるように見えます。
とはいえ、これ以上『あの花』としてのストーリー展開はおそらくないでしょうね。めんまが欠けた(成仏した)時点で物語はすでに終わっているわけで、残った5人の今後を物語として見せていくことは可能だとしても、それは『あの花』とは別のものではないでしょうか。また、これ以上回想によって彼らの過去を掘り下げる意味もなかろうと思います。
この劇場版は、各々の鑑賞者が(同窓会的なイベントを通じて)劇中人物の回想を擬似的に体験しているようなところがあります。個人的には、先述したじんたんの「無駄ではなかった」の思いに被せる形で、自分なりにこの作品を納得できたように思います。
上映前の舞台挨拶では、茅野愛衣さんが「映画を見て泣いて日頃のストレスを吐き出すもよし」的なことをおっしゃっていましたが、ぼくにとっては少し違うというか「泣いてスッキリ」じゃなくて「作品にまつわる今までのモヤモヤが割と解消できてスッキリ」な気持ちですね。いや、本当に見て良かったと思います。
(余談)
今回ゲットした舞台挨拶回の座席は二列目、一列目は全部空けられてたのでいたので事実上の最前列でした。京都限定という茅野愛衣さんの着物姿を近くで見ることができて良かったのですが、普段の映画鑑賞でこんな前の席をわざわざ選ぶことはないですね(視野角度の面でつらいので)。ただ、本編終了後に流れるスタッフロールの文字が向かって斜め上方へ移動して消えていくのが、劇中の「お焚き上げ」の煙のようでもあり、妙なところで感慨を受けました。

上記は、茅野さんの着物姿を伝える公式ツイート。