『けいおん!』大学編9(きらら)

昨日「まんがタイムきらら」2月号を入手しました。毎回レギュラー陣の誰かにスポットを当てる趣向になっていますが、今回はりっちゃんのお悩み回でした。
冒頭に唯を登場させてさりげなく対比を示しているのが興味深いですね。バンドの中では2人ともボケキャラのポジションではあるけど、決して似たもの同士ではない。唯はやる気を出せば短期集中でスキルアップしていくポテンシャルがあるけど、律にはそれが見られない。
それは持って生まれた素質の差か、性格の差か。ぼくは後者だと思っています。別にりっちゃんが怠け者だというのではなく、努力の向かう先が唯とは違うんじゃないかなという気がしているんです。
今回、唯のスキルアップ(?)を目の当たりにしたりっちゃんは、自分の演奏技術が向上しないことに思い悩んで自室にこもってしまいます。
ここで思い出されるのがアニメの1期11話。
あのエピソードは、澪と和が仲良くしているのを見てりっちゃんが嫉妬した風でもありますが、実のところ風邪で体調を崩していたのを空元気でカバーしていたけど、それもできなくなって学校を休んでしまいましたの話。
思うに、律は人に弱みを見せたくない気持ちが人一倍あるんですね。音楽面でそれぞれ卓越したスキルを持つ仲間たちにかなわないことは百も承知、それなら自分はムードメーカーとして常に明るく振る舞わなければいけない。ずっとそうやって自分を奮い立たせている。彼女の努力はそういう方向に振り向けられているんだと思います。
原作の話に戻ると、澪をはじめとして、HTTのみんなもりっちゃんのドラムが走りがちなのを承知の上でバンドアンサンブルを心掛けていたことが判明、それが恩那組の視点も加えてうまく表現されていましたね。またまた1期11話に出てくるムギちゃんの名言「りっちゃんの代わりはいません!」を思い出してしまいます。
もっとも、上記11話のエピソードはアニメのオリジナルなんですが、どういうわけか原作のほうにも似通った雰囲気が感じられました。

澪「私も唯もムギも、みんな律がどこで走るか分かってるんだよ。そんなことで悩んでたら唯一の取り柄のパワフルな音も弱々しくなるぞ?」
(7ページ目3コマ目より引用)

いいセリフですね。

澪「梓のカッティングで音がしまるんだよな」
律「唯のは力技だからな・・・」
澪「お前が言うなよ!」
(映画『けいおん!』、屋上のシークエンスより引用)

ついつい、こんなのも思い出してしまいましたが、原作者のかきふらいさんはアニメ版から何かしらの着想を得ているのではないか、とも感じました。
りっちゃんの表情を含めてなかなか心温まる話だったのでおおむね満足なのですが、まだまだ新展開というレベルには行かない大学編。高校時代のように、定期テスト、夏合宿、文化祭と、目の前のイベントに夢中で飛びつく雰囲気はないですね。このところキャラクター各々の内面の悩みを追ったエピソードが続いていますが、当分はこの路線なんでしょうか。