『けいおん!』大学編6(きらら)

昨日「まんがタイムきらら」の10月号を入手しました。
今回のエピソードは久々に唯がメインとなっています。
いつもは寝坊&遅刻の常習犯であるはずの唯がめずらしく早起き、晶の身だしなみにも鋭いチェックを入れ、バンドの練習にも積極的・・・ここまできて「その正体は憂ちゃん?*1」と思ったのですがさにあらず、どうやらHTTの今後の方向性にひとり悩んだあげく「知恵熱」を出してしまったらしく、その結果いつもと正反対のキャラになってましたとさ、というお話。
今回のポイントは唯のセリフ

「音楽ってなんだろうって・・・」
「じゃありっちゃんは何のために音楽やってるの!?」

ですね。
単に、唯ならではの子供っぽい素朴さの現れと見ることもできますが、ここには原作者・かきふらいさんの(大学編けいおんの方向性やスタンスについて)自問する姿も窺えるのではないでしょうか。唯たちに音楽活動を続けさせる意味合いというか、高校時代とは異なるシチュエーションの中で音楽・バンド演奏をどう位置づけていくべきか、みたいな。
(このあたりは読者サイドとしても気になるところですよね・・・)
もともと登場人物の少ない作品ではありますが、大学編に入ってからは、憂や和のような軽音部員以外のサブキャラクターがまだ出てきていません。外部の視点というのが皆無なんですね。また、今後描かれるであろう大学の文化祭、高校よりもはるかに自由度の高い環境の中で、軽音部のライブというものがどういうリアクションでもって迎えられるのか、その点も未知数です。
それに関連して、晶たちの「恩那組」の存在が興味深いところです。今回の話で「プロ志向」という位置づけが決定された形ですが、彼女たちをHTTより一歩先をいくポジション(擬似的な先輩ポジションとも考えられます)に置くことで両者を対比させ、結果として唯たちが方向性白紙のモラトリアム状態をしばらく続けられる仕掛けが組まれていくようにも思えます。
個人的には、HTTが今後プロデビューを狙う方向性は考えにくく、りっちゃんの「ボケ防止」発言を好意的に解釈すれば、部活動の縛りがなくても(趣味の活動として)HTTは息長く続いていくんじゃないかと思っています。そういうわけでHTTとしては「ゆるゆるまったり」路線を維持しつつ、毛色の違うグループをすぐそばに配置することで、作品としては高校時代との差を少しずつ出していこうとしているのではないでしょうか。
ただ、今の時点では恩那組3人がキャラ的に物足りないですね。晶ちゃんはいじられキャラとして認知されているものの、残り2人はまだまだ存在感がありません。今期放映のアニメ『ゆるゆり』でメイン4人(ごらく部)に負けじとサブ4人(生徒会)がキャラクター性を出している点と比較すると、けいおん大学編はもったいないなあ・・・と感じてしまいます。
今回のエピソードでは、久々に唯の天然キャラが発揮されている安心感はあるものの、話としては先が見えてこないもどかしさも感じられました。これからどうなるか、ひたすら期待するのみです。

*1:原作第2巻。高二の文化祭ライブの直前に唯が風邪で倒れ、憂が替え玉を演じるエピソードがあります。