『けいおん!!』番外編「訪問!」感想補足

前回書いたBD/DVDのジャケットネタも良いのですが、何度か見返してみた結果、今回の番外編はやっぱり終盤の流れが良かったと思います。
さわちゃんのマンションから学校に戻ってきた3年生。その中で唯が真っ先に3階の部室に駆け上がっていきます。入口のドアに遮られて部室内の様子は窺えませんが、中から憂の声が聞こえてきます。

「練習手伝うの楽しいから、全然平気だよ」

ええっ、手伝うってサポートメンバーなの?
憂と純は軽音部に加入するんじゃなかったっけ。
・・・と、思ったのはぼくの早とちりでした。原作でも2人が軽音部加入を表明するのは卒業式当日。今回の第26話は一応最終話だけど、時間的には卒業式の何日か前という設定だし、原作とは矛盾しない。むしろ原作の展開を尊重したとも言えます。どうもそそっかしくてすみません。
それはともかく、梓たち下級生トリオの「ふわふわ時間」をバックに3年生が階段を駆け下り、廊下を走っていくシークエンスが本当に良い感じでした。梓に出くわした唯たちがなぜ「逃げろ!」なのか、そこを突っついてもしょうがない。そこに理由や意味なんかないんですよね。セリフは一切なく、競うように校内をダッシュする上級生をひたすら追っていくシークエンス、この躍動感はコミックでは出せない動く映像(アニメーション)ならではの演出だと思います。

こんなに澪がニコニコしているカットは珍しいですよね。澪がニコニコしている時に他のメンバーが楽しくないはずがない。とはいえ、みんな笑っているわけではなくて、後ろの唯とムギちゃんは必死な表情です。

4人の先頭を切っていた澪が携帯電話を落っことしそうになって慌てるカット。こういう小さなハプニングを挟み込むとは芸が細かい。今まで最後尾だった唯はここぞとばかりにスパートをかけます。階段手すりのオブジェ「うさぎとかめ」や、第15話「マラソン大会!」のラストを彷彿させるシークエンスでもありました。

校舎の外に出てきた4人は「ふわふわ時間」のエンディングに合わせるようにしてジャンプ。このアニメは最後まで夕焼け空が印象に残る作品ですね。
ただ、返す返すも残念なのは、2年生3人の演奏する姿が一度も出てこないことですね。せめて数秒間でも、自分たちのアンサンブルに小さな手応えを感じているであろう梓・憂・純の表情を織り込んでほしかった。それがダメなら百歩譲っても、部室の窓から3年生たちを見送るカットを入れることはできなかったんでしょうかね・・・。たぶん何らかの理由があって、制作プロセスの中で「それは入れるべきではない」という意思決定がなされたのだろうと思いますが、個人的にはどうも引っかかってしまいました。
ともあれこの第26話も前話と同じく、梓の自主性を無理強いすることなく引き出していく展開になっていて、そこはとても良かったと思います。ドラムとボーカルのいない下級生トリオは未完成のバンド編成ではあるけれど、卒業していく3年生たちは一応バトンを渡す格好になりましたね。第24話のラストで描かなかった部分をしっかり補足する番外編でもありました。