BECK見てきた。

アニメ映画『カラフル』とどっちにしようかと迷ったあげく選んだのがこちら。以下ネタバレで書いていきます。
原作が3634巻にもわたる長編コミックだけあって、その流れを2時間の尺に収めるのはやはり無理があるはずだし、その意味では原作前半のクライマックスである「グレイトフルサウンド初出演」までに物語を絞ったのは良かったと思います。
BECKの5人、斎藤さん、エディー、レオン・・・それぞれマンガの特徴をつかんだキャラクター設定になっていてほとんど違和感がありませんでした。とくに一本気で情熱家の千葉(桐谷健太)、コミカルな立ち振る舞いの斎藤さん(カンニング竹山)、この二人が良い感じでした。カンニング竹山さんはギター経験者なのでしょうか、劇中ではツェッペリン風、ディープ・パープル風、ニルヴァーナ風のギターフレーズをそつなく弾いてみせる場面もばっちり決まっていました。
ただ、ひとつ残念なのは、コユキの歌声がまったく出てこないこと*1。おそらく、原作で言及されている「天性の歌声」のイメージを壊したくなかったのだろうと思いますが、そういう配慮は実写版だと単に逆効果ではないでしょうか。ライブ場面でコユキのヴォーカルパートに入ると急に歌メロ風のシンセサウンドが仰々しくかぶさってくる演出はどう考えても不自然ですし、見ている側のテンションもおのずと下がってしまいます。役者さんの演奏は別に当て振りでもいいので、歌だけはちゃんと聞かせてほしかった。
思うに、ことさら「天性の歌声」を強調しないように話を持っていけば、コユキ役の人に歌わせても問題なかったんじゃないかなあ(俳優さんにそれなりの声量や技量は必要だとしても)。まさか、映画化にあたって原作者からの条件が「コユキの歌声を一切出さないこと」だったとか・・・そんなことは考えたくないですけど、いずれにしても原作に遠慮しすぎです。原作コミックをぜんぜん読んでない人があのライブシーンを見たら「はぁ?」って思うんじゃないですかね(まあコユキが「歌わない」分、千葉のパフォーマンスが映えたという効果はありましたけど)。
それはともかくとして、90年代以降の洋楽ロック的なサウンドが満載で、BECKの楽曲は非常に格好良かったです。紆余曲折を経ながらバンド5人の結束に焦点を当てたところも。

*1:事前に読んだCut9月号にはこの点をほのめかす記述があったので、それなりに覚悟してたんですが。