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『けいおん!!』第17話に見る、「外」ではなく「内」に向かって葛藤する桜高軽音部

工事のために部室(音楽室)が使えず、教室や体育館での練習を試みるものの敢えなく失敗、最終代替案として校外の貸しスタジオに向かったのは良いが、いつものグダグダな流れにハマって結局まともなバンド練習のカットは一度も出てこず・・・とまあ、最後のほうは第2期以降よくあるパターン。
ぼくとしては「バンドとしてHTTの演奏する場面をじっくり見てみたい!」と常日頃から切望しているのだけど、残念ながら文化祭の本番を迎えるまでは叶いそうもないですね。
このアニメでは、視聴者にとっても劇中キャラクターにとっても「敵」となる存在がいないことは、第1期以降すでに『思想地図』などで指摘されていますが、今回はこの部分を改めて確認させられました。
軽音部には、他のクラブと違って他校との試合やコンクールのような場がありませんし、ライバルや目標とすべきバンドもいません。いまさら指摘する話ではないですけれど、具体的に何に向かって活動しているのか分かりにくい点が、他の部活動とは明らかに異質。第2話「整頓!」もそうでしたが、今回もこのことが上手く対比表現されています。
今回はタイトルどおり「部室がない!」ことが主題のように見えますが、物語の中ではさほど深刻な問題にはならず、むしろ澪のスランプ状態に端を発する軽音部の内部問題(新曲の歌詞が書けない!)のほうがクローズアップされていきます。つまり、彼女たちの葛藤する/克服すべき対象は、部室が使えないという「外的要因」ではなく、新曲ができないという「内的要因」のほうなわけです。
さらに、物語の後半に進むと、話の焦点が軽音部の内部事情(新曲ができない)から、唯の家庭事情(憂の急病)にシフトして、ますます問題はドメスティックなものになっていきます。このあたりの流れを感じ取れると、割と面白かったですね。
劇中の演奏シーンが非常に少ないという点でいえば、おそらく制作スタッフとしては、ぼくとは逆に「単にファンサービス的な、必然性のない演奏シーンは極力出したくない!」という気持ちが強いのだと思います。繰り返しになりますが、桜高軽音部は「外」ではなく「内」に向かって絶えず葛藤している存在。もし『BECK』のように外部の「敵」が設定されていれば演奏シーンを存分にアピールする必然性も出てくるでしょうけれど、彼女たちを脅かす存在はたぶん最後まで登場しないと思いますし、やっぱり無理でしょうね(そう思うことで自分自身を納得させることにする)。
とはいえ、個人的には第2期の間に一度くらいは「まるごとライブ演奏回」を設けるくらいのサービス精神があってもいいんじゃないと思いますが、まあ「そんなにバンド演奏が見たければ、ニコニコ動画MMD-Band Editionでもあたれば?」と返されたら、それもそうかなと思ってしまいそうですし、なんだか悩ましいなあ。