『けいおん!!』第16話を見た。

第13話の反復?

放課後、梓が部室に行くと先輩が1人だけいて、なんやかんやとおしゃべりした後、そろそろ練習を始めようかと思った矢先に他の3人がなだれ込んできて、けっきょく練習がお流れに・・・という展開を3パターン繰り返す趣向でした。
この展開、どこかで見たことあるなあと思い返してみると、そうそう、第13話「残暑見舞い!」に出てきた「あずにゃんの夢オチ三連発」とそっくりの流れなんですね。もっとも、今回の話は夢ではなく現実なんだけれど、「梓+澪」のシークエンスで、律の家に来るよう澪が梓を促す場面は、ちょうど夏祭りのエピソードと同じように「先輩たちが自分から離れていく!」という構図が感じられるわけで、またしても「あずにゃんのぼっち問題」を思い起こしてしまいますね。うーん、軽いノリの話に見えてけっこうシリアスなものが底に流れている。

けいおん!!」と音楽

ところで、雑誌CUT8月号に載っている山田尚子監督のインタビュー記事から、以下にちょっと引用します。

けいおん!」にとって、音楽が特別な存在なのはもちろんなんですけど、なんなんでしょう?・・・会話の一環くらいの感覚というか。音楽のために存在している子たちじゃなくて・・・彼女たちからしてみたら、あくまでみんなとしゃべるための1個のツールとしての音楽なので。私としても、その感じで音楽を見てるんですね。(p.29)

会話の一環とは言い得て妙、第2期に入ってからは特にそんな傾向が強いですね。
そういえば、第7話「お茶会!」で新曲を披露したときも、ぜんぜん音楽的な意味合いの伏線はなかったし、第3話「ドラム!」や今回の第16話にしても、みんながおしゃべりしてる中から自然にムギちゃんが新しいアイデアをぽっと出してくる感じだし、軽音部の誰もが「音楽」というものに対して必死に取り組むというポーズは少しも見せないんですよね。
ぼくとしては、この「けいおん!!」における「音楽」は、いわば「自転車の補助輪」みたいなものなんじゃないかと思っています。もともと音楽要素の少ない作品ではあるものの、第1期ではそこそこ音楽ネタ・演奏シーンが盛り込まれていましたが、第2期に入ると「みんな、もう『音楽』がなくても充分ついてこれるよね!」というスタンスにシフトしているように感じます*1。今後「大学生編」が作られたときに、タイトルが「けいおん」というだけで音楽要素がゼロのエピソードばかりになっても、視聴者はぜんぜん違和感を持たなかったりして(笑)。
ともあれ、文化祭も近いことだし、そろそろ音楽話に入ってくるかと期待させておいて肩透かし・・・なかなか憎い演出ですな。正直いうとぼくはやっぱりHTTの演奏シーンを見たいですよ。だって、特にフロントの3人がギター持って歌ってる絵はカッコイイから。肩透かしといえば、前回の予告編で期待していた純ちゃんのジャズ研話が出てこなかったのも残念。

Cut (カット) 2010年 08月号 [雑誌]

Cut (カット) 2010年 08月号 [雑誌]

*1:唯の演奏技量がまったく問題にされなくなった点も大きいのですが。