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『けいおん!!』第9話を見た。

今回はアニメ編オリジナルバージョン。期末試験の勉強と、演芸大会の出し物練習の二正面作戦という、唯にとってはかなりしんどいタスクが課せられる回です。
この人は、以前からずっとそうなんだけど、同時に複数のことを並行してこなすことが大の苦手だし、自分のやるべき課題に優先順位をつけることもできない。おまけに脳内メモリが致命的にしょぼいから、人から聞いた話も、目に飛び込んできた物事も、そのつど上書き保存されて、古いものはさっさと消えてしまう。
まあ、こういう傾向はぼくにもあてはまるところで、仕事中に誰かから急に呼ばれたり電話がかかってきたりすると、そのあとなかなか元の仕事に戻れない。というか、自分がいままで何をやってきたのかをスコーンと忘れてしまうんです。隣のおばあちゃんからギター練習のことを褒められて勉強を忘れたり、醤油と砂糖を思いっきり勘違いしたりする唯を見ていると、アホやなあと笑いつつ素直に笑えない、というかかなり身につまされたりします。
さて、第9話の流れを見ていくと、試験勉強はいつものとおり友達に手伝ってもらわないとできないし、演芸大会の出場も(最初は「一人で出る!」と意気込んでいたものの)結局はあずにゃんが助っ人を買って出ることになります。
要するに唯は、
「一人では何もできない人」
なのでありまして、周囲からすれば一人で放っておくと危なっかしくて見ていられない存在なので、結果的にみんなが見るに見かねて手を貸すことになります、というのがいつもの常道パターン。今回も、第8話から続くかたちで「とにかく一生懸命がんばる!」をやたら連発しているところなんか見ていると、ホンマにこいつは大丈夫やろか、物事の理解能力が根本的にオカシイんとちゃうか、と思わず不安にさせられてしまいます。
しかしながら、
「一人では何もできないことは、決して悪いことじゃない」
というのも意外と重要なんですよね。
唯は、自分のダメなところをしっかり自覚しているようには見えないけれど、自分の短所や欠点をかくす発想がそもそもない人だから、知らず知らずにその言動ひとつひとつが「一人では何もできない」ことのアピールになっているんです。そこから生まれるのが「人とのつながり」。ここが大切。逆に、なまじ自分ひとりの力で何とかなると思い込んでる人には「つながり」が生まれないのだと思います。
だから、たとえ勉強ができなくても、記憶力が多少悪くても、ギターの腕が後輩より劣っていても、いつも自分を支えてくれる仲間がいて、一緒に何かしらをシェアできる仲間がいれば、それでOKなんですよね。
ところで「ゆいあず」が演芸大会で披露した「ふでペン ボールペン」の演歌風バージョンですが、シンプルな弾き語りのようでいて、けっこう凝っています。ギターのカッティングは「ちゃん、ちゃん、ちゃんちゃかちゃんちゃ」とまるで盆踊りの太鼓のようにパーカッシブですし、イントロのフレーズには演歌チックなヨナ抜き短調音階が織り込まれているし、イントロ最後のドミナントコードはジャジーにB7(b13)だったりします。このあたりのセンスはあずにゃんかな(笑)。
個人的には、高校生の頃に「大槻ケンヂオールナイトニッポン」で「おっぱいマンの歌」のバタやん(田端義夫)風マドロス演歌バージョン(リスナーの投稿デモテープ、ギターの弾き語り)を聞いたときの脱力感を思い出したりもしました。まあ今頃そんな話をしても誰も知らないだろうけれど。