アリス・イン・ワンダーランド

以下ネタバレ御免。
昨年末の『アバター』と同じく3D映画なのだが、どうもこの作品は3Dの魅力を生かし切っていないと思う。スクリーンを越えてこちらに来るわ来るわ!という迫力がほとんどなかった。『アバター』との共通点でいえば、でっかいイノシシの化け物みたいなのが突進してきたり、怪鳥(?)に主人公がまたがったり、そういう演出もチラホラ見かけたのだけれど、迫力的には不十分。そのうえあの3Dメガネをずっと着けていると、こめかみや目の筋肉が痛くなってくるし、そうかといってメガネを外して二重にぼやけた映像を見続けるわけにもいかず難儀させられた。個人的なことだが、ひさびさに映画館にいくとスクリーンの強い光に目が耐えられない。前半の15分ほどだったか、顔をずっと下に向けていたらいつの間にか寝てしまった。やれやれ。
とはいえ、アリス役のミア・ワシコウスカが可愛かったので許す。
物語は『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』をくっつけたような感じかな。子供の頃からずっと「ワンダーランド」の夢を繰り返し見ているなんてどんだけ不思議ちゃんなんだよと突っ込みを入れたくもなるが、ミア・ワシコウスカだから許す。あと、チェシャ猫と青虫も可愛かったな(この映画で唯一3Dらしさを感じたのは、青虫のパイプからでる煙だった)。
舞台背景は16世紀のエリザベス朝時代をモデルにしているのだろうか。赤の女王様に愛人がいたり、妹であるところの白の女王と対決したり、なんだか『エリザベス・ゴールデン・エイジ』を思い出したりもする。赤の女王はヘンテコなメイクと頭の形で不細工な女芸人のようだった。殺生を好まない白の女王役に扮するアン・ハサウェイベジタリアンなのだそうな、へえ。
不思議の国のアリスといえば、最初にぼくが見たのはディズニーのアニメだったかな。なにぶん幼い頃のことだったので記憶も定かでないがとにかく奇妙な印象しかなかった。女王様の「首を切っておしまい!」という決め台詞だけが鮮烈に残っているような気がする。ともあれ見ていて楽しい話ではなかった。奇妙な印象という点ではシュヴァンクマイエルの『アリス』が非常に忠実だったのかも知れない。今回の映画はまあウェルメイドですね(笑)。
余談だが、映画の青虫はさなぎを経過して蝶となって羽ばたいていく。とすれば『1Q84』の空気さなぎもいずれは・・・?