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年始の再放送(ETV特集 シリーズ「日本と朝鮮半島2000年」第7回 東シナ海の光と影 〜倭寇の実像を探る〜)

年末に親の家に寄ったら、なぜか父親がこのシリーズをせっせとBDレコーダに録画予約していた。今までこの手の歴史話に食いつきそうな人間とは思えなかったので何だか感心してしまった。
かくいうぼくも、この「日本と朝鮮半島2000年」の本放送はほとんど見逃していたわけで、年始にまとめて再放送してくれたのは有難い話であった。この番組のこともあって正月休みの終わりに電気屋でBDレコーダを即購入したようなもんだが。
このシリーズはけっこう目からウロコなところが多くて、とくに第6回の渤海国がフィーチャーされるあたりは面白かった。若狭出身の継体天皇まで引き合いに出して、昔から日本海を挟んだ交易ルートもあったなんて単純にすげーなと思う。NHKも戦国武将とか幕末志士だけじゃなくてこういう時代を大河ドラマの題材にすればいいのに、と思ったりもするが、ずいぶん前に「琉球の風」なんかでずっこけた経緯があるからやっぱり無理だろうな。モックンの「聖徳太子」みたいな一発ものじゃないと。
それはさておき、倭寇の話。
この時代あたりから日本と朝鮮半島、双方の見方が微妙になってくる感じがする。その後には秀吉の朝鮮出兵日韓併合なんかが控えているわけだし、ややともすれば「日本は加害者、朝鮮は被害者」という形で括って歴史を考える人は多いんだろうなと、まあそういうことを考えながら見てしまう。
コメンテーターで出ていた日本の先生が「当時の人々には、現代のような国家感覚はなくて、倭寇の拠点となった対馬の人たちはいわば『境界人』的な存在だった」と語っていたのが興味を惹いた。わりとそうかも知れない。ウィキペディアで「倭寇」を調べたら、日本人以外に朝鮮半島や中国大陸の人たちも倭寇に加わっていたという記述もあるし。
たとえば「日本人は『倭寇は日本人だけじゃない!』と主張することで、日本側の罪悪感を軽減したいのか!」とかそういう論調につなげると、それは近現代ベースの安易な歴史観になってしまうけれど、そうではなく、各国の下層民、食いっぱぐれなんかの間に連帯意識が芽生えて、気がついたら徒党を組んで海賊をやっていたと、いわば多国籍ヤクザみたいなイメージも湧いてきたりする。
同じくコメンテーターの韓国の先生は「当時は、日本・高麗・元ともに国家体制が不安定な時期であり、そういう状況が倭寇を生み出す要因となった」と解説していた。現代におけるイスラム過激派の存在を重ねて語っているのを聞くと、これもそうかな、と思う。ただ「高麗の人は進んで参加したわけでなく、倭寇に強制的に利用されたのだ」と牽制的な意見も。
あと、李氏朝鮮時代に入ってから世宗が対馬を攻撃した話とか、番組の終盤で対馬を訪れる韓国人観光客の姿がでてくると「これって思いきりネトウヨホイホイだよなあ」と苦笑されられる部分もあった。まあ、最後にはリポーターのユンソナ対馬から朝鮮半島を眺めて「日本と韓国は海で繋がってるんだ」と感慨深げに語るカットが出てきて無難なまとめ方にはなっていたけれど。