韓国語式に英語を発音してみる。
もう20年以上前になるが、親父の持っていた英語リスニングの本*1に
英語では、語末のp, t, k, b, dの音はほとんど聞こえない。
と解説されていたのを覚えている。この本にはこんなことも書いてあった。
しかし、これはあくまでリスニングのコツとして理解すべきであり「p, t, k, b, dの音はほとんど聞こえない」からと言って、私たち日本人が英語を話す際に語末の音を抜かして発音をすると、ネイティブスピーカーに誤解を与えるおそれがある。
当時は、ああそんなもんかなと思っていたのだが、語末の発音については、韓国語のパッチムの概念を合わせて考えると面白いです。
ここでは連音のことは無視しておきますが、韓国語では音節の最後に"p, t, k"音のパッチム(ㅂ,ㅅ,ㄱなど)が付く場合、舌や唇を"p, t, k"を発音する形にキープしつつ実際には音を出さない内破音となり、こういう子音で終わる音節を一般に「閉音節」というそうです。
面白いのは、英語圏から入ってきた外来語の扱いです。日本語と違って韓国語では往々にして外来語に閉音節を取り入れているようです。たとえばこんな感じ。
・킥(kik)→ サッカー用語などでのキック(kick)
・핫(hat)→ ホットドッグなどのホット(hot)
日本語式に「キック(kikku)」や「ホット(hotto)」と発音するのとはちがって、最後の"k, t"には母音が伴わないので、まさに、
語末のp, t, k, b, dの音はほとんど聞こえない。
ことになります。
ただし、先に書いたように、音には出さないだけで舌や唇は"k, t"などの音の形を保つわけです。
おそらく、英語でも韓国語と同じように語末の子音を「舌や唇でキープする」形で発音しているにちがいない。そうであればこそ、単発の"What?"は「ワッ」に聞こえるけど、"what you say"は「ワッチューセイ」になるわけで、つまりこれは舌先を歯の裏側に当てる形にして"t"の音を作っているから、次の"you"にくっついて「チュー」になるんですね*2。
まあそういうわけで、英語の語末に"p, t, k, b, d"が来る場合は、音として完全に無視するのではなく「舌や唇でキープする」ことを頭の片隅にでも意識しておれば、わりとネイティブに近い発音になるんじゃないかと、素人ながら思ったりするのだ。