聞いたことのない話

小咄その1・聞いたことのない話
師匠「今日はな、折角やさかいに『聞いたことのない話』いうのを披露しようと思うんや」
弟子「へえ、聞いたことのない話いうたら、そらまたどないな話ですやろか」
師匠「おい、弟子よ」
弟子「へえ、何でっしゃろ」
師匠「ときにお前、無茶言うたらアカンがな」
弟子「はあ、いきなり無茶言われても私には何のことやらサッパリ」
師匠「あのな、いくら世間では物知りで通っとるこのワシかてやな」
弟子「へえ」
師匠「『聞いたことのない話』の中身は、知りようもない。従って・・・」
弟子「従って・・・?」
師匠「せや、従って、話しようもない」
弟子「・・・」