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思うことをつらつらと書いてみる。

ぼくが大学生のころ、伊丹十三が「人の欲するものを、人の予期せぬ形で」とテレビで言っていたのを覚えている。人の予期せぬ形で、というのはなかなか巧い言い方だな、というか、マーケティングの基本なのかも知れない。人々の視線を今までと違う方向にパッと振り向かせて「そうそう、こういうのが欲しかったんだ」と思わせるテクニック。人々が本当にそれを欲していたのかどうか、とは別に、そう思わせるテクニックといってもいいだろう。そういう意味でマーケティング、商売というのは言い方は悪いけれど一種の詐術のような気もしている。同じだまされるのなら、心地よく騙されたいとか、そういう感じで。
人の予期せぬ形で、というのはそうそう誰にもできることではないが、相手の欲しているものを瞬時に察知する勘みたいなものは、商売に限らず普通のコミュニケーションでも重要だなと思う。人と話していて「こいつ、本当に俺の言っていることが分かっているのか」と思ったり、思われたりすると、なかなか話が進まない。
ぼくなんかは、子供の頃から人一倍運動神経が鈍い方で、特に球技が苦手だった。ほら、体育の時間にバスケットボールとかやるでしょ、巧い奴が同じチームにいると、そいつは2,3回こちらにボールを投げてみて反応を窺ってくるのですよ。ちゃんとパスやドリブルができるかどうかと。それでぼくがパスされたボールを受け損なったり、受け取ったはいいがオタオタしているうちに敵チームに持って行かれたり、そういうのが続くとああこいつはダメだなと、もう二度とぼくにパスなんかしてこなくなる。本当に巧い奴はここで怒ったりしない。よっしゃ、うちのチームは4人編成でいくぞと、そういう頭にささっと切り換えちゃうんですね。めちゃくちゃクールにできている。
会社での仕事なんかもチームワークだから、けっこう似ているところがある。慣れないセクションに配属されると、どこからボールが飛んでくるか分からない。外部から(ぼくにとっては)訳の分からない電話がかかってきて慌てていると、ふと昔のバスケットボールの悪夢なんかをちょこっと思い出したりしてね。それでも場数をこなしていると、わりと勘で何とかなる部分も出てくるし、多少しくじっても、ああこいつならフォローしてくれそうだなと、分かってくるし。そういうわけで来週も頑張ります。